急性外傷やリハビリテーションに効果的なアイシング。冷却により皮膚、筋肉、関節ではどのような温度変化がみられるのでしょうか。
皮膚温は急激に変化する
アイシングが皮膚温および筋温に及ぼす影響を調べた研究1)によると、大腿部にクラッシュアイスの袋詰めでアイシングを行なった結果、皮膚温は開始5分で33℃から12℃へと急激に低下し、その後もなだらかに低下、30分後には10℃以下までになったとのことです。
その後、アイシングを中止したところ、皮膚温は急激に上昇し、回復することがわかりました。
筋温の温度変化は皮膚温とは異なる
一方、同じ研究で筋温を測定したところ、アイシング開始後は緩やかに温度が下がり、30分後には27〜29℃まで低下しました。その後、アイシングを中止してから数分間は筋温が下がり続けたのちに上昇、皮膚温のように急激に体温が上昇することはなかったそうです。
このように、皮膚温と筋温ではアイシングによる温度変化に違いがあることが分かりました。
アイシングで関節内の温度も低下する
また、関節部に対しても別の報告2)があります。冷却水循環型の冷却パッドを用いて膝関節にアイシングを行なったところ、関節の表層だけでなく深層、すなわち関節内温度も低下し、疼痛や出血が軽減されることが分かっています。
冷却による効果(疼痛軽減、出血量の低下)や副作用については、他の記事
・スポーツアイシングとは? シーン別の効果と影響
・アイシングの副作用 〜凍傷になった時の対処
でも紹介していますが、こうした温度変化の特性を知っておくことで、ターゲットの部位により適切かつ効果的なアイシングを行えるでしょう。
1) Merrick MA, et al., J Athl Train 28: 236, 1993
2) Ohkoshi Y, et al., Am J Sports Med 27: 357, 1999
参考:
・小笠原一生, 臨床スポーツ医学 32(5): 480, 2005
・吉永孝徳 スポーツ・アイシング ナツメ社: 2002
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